電子工作６６ – 経過時間をＬＥＤの点滅で表示する、３０分、１、２、３、４、５、６時間に設定可能な簡易ON/OFFタイマの製作
概要
前の電子工作５４の簡易タイマの改良版である。前の実用機はあまりに大きく不格好なので以下の点に留意してコンパクトに仕上げた。
１） 街で見つけたAC100V差込付きUSB５V電源を使用した。
２） １２F６２９を１個加えて５個の時間経過表示LEDを１個に減らし、時間経過をLEDの点滅パターンの変化で表示するようにした。
３） 電子工作５４の１６F８８６のプログラムは全く変えず、追加した１２F６２９のプログラムだけを新たに作成した。
注意： 危険なので製作は自分の責任で行うこと。
回路図と動作原理
回路図を下に示す。１６F８８６から出ていた５本のLED駆動用のケーブルをそのまま新たに追加した１２F６２９の５個のポートに直接つなぎ、その入力信号をプログラムで処理して１個の黄色LEDで５段階の点灯パターンで表示して経過時間が分かるようにした。今回はAC100V差込端子付き（メス）USB５V電源（RK−ABA11、DC５．０V−１A、ラディウス（株））を使用したので大変コンパクトに仕上がった。電源の不安定さなどによる１２F６２９の誤動作もなかった。AC１００V差込端子はアルミボックス内部でAC１００Vコネクタ（オス）につないでSSR （Ｓｏｌｉｄ Sｔａｔｅ Relay）を介して外部AC１００V機器駆動用の出力端子に半田付けした。ＡＤＣ（Analog-Digital Ｃｏｎｖｅｒｔｅｒ、１６F８８６のPin２）の入力電圧を変えるＶＲ１００Ｋを回すと選択時間表示ＬＥＤ１−７のいずれが点灯する。各ＬＥＤに設定時間が割り当てられている（ＬＥＤ1＝３０ｍｉｎ，ＬＥＤ２＝１ｈｒ、ＬＥＤ３＝２ｈｒｓ、ＬＥＤ４＝３ｈｒｓ、ＬＥＤ５＝４ｈｒｓ、ＬＥＤ６＝５ｈｒｓ、ＬＥＤ7＝6ｈｒｓ）。設定した時間が来たらタイマが“切れる”または“入る”の設定はＭｏｄｅ ＳＷ（Ｌ：“切れる”、Ｈ：“入る”） で行う。設定した時間が終了するとＳＳＲとＬＥＤ（Ｇ）がＯＮまたはＯＦＦする。経過時間レベル表示の黄色ＬＥＤ（LED（Y））は時間を設定すると点灯する。時間の経過とともに点灯していた黄色ＬＥＤは１５ms消灯して点滅、５０ms消灯して点滅、３００ms消灯して点滅、１０００ms消灯して点滅が続き、最後に黄色ＬＥＤは完全に消灯する。タイマを起動させてＬＥＤs黄色ＬＥＤが常時点灯している時は経時間は大まかに言って設定時間の１００―８０％にあり、１５ms消灯点滅では８０−６０％、５０ms消灯点滅では６０−４０％、３００ms消灯点滅では４０−２０％、そして１０００ms消灯点滅では残り２０％以下であることを示す。時間終了でこのLEDは完全に消灯する。 Ｒｅｓｅｔ ＳＷを押すと同じＬＥＤ表示時間でまた時間の計数が始まる。ＶＲ１００Ｋを回して別の（または同じ）時間を選択すると、その瞬間をゼロして時間の計数がまた始まる。
完成した実用型簡易タイマ その内部、配線が結構大変だった
コンパクト化に役立ったAC100V差込付きUSB５V電源
結果＆コメント
１） 電子工作５４で述べたように時間の精度は結構高いはず。
２） ＬＥＤ（Y）の挙動と残り時間との関係を下表に示す。残り時間とは選択・設定した時間が時間の経過とともに減って行き、その時残っている時間の割合（％）のことである。
ＬＥＤ（Y）の挙動と残り時間との関係
|
ＬＥＤ（Y）の挙動 |
残り時間（％） |
|
連続点灯 |
100-80 |
|
５ms消灯点滅 |
80-60 |
|
５0ms消灯点滅 |
60-40 |
|
300ms消灯点滅 |
40-20 |
|
1000ms消灯点滅 |
20 > |
３） ５ms−１０００msの消灯点滅の判別は慣れると難しくない。消えてる時間を推測するとよい。
４） 総材料費は２０００円ほど。組立て作業に４日ほどかかった。
プログラム
今回の回路は１２F６２９の部分を除いて電子工作５４のそれと同じ。したがって１６F８８６のプログラムは電子工作５４のそれと同じ'SimpleTimer16F886LvlsmlC.basを使っている。 以下の様に１２F６２９のプログラムは新しく作成した。１２F６２９のGPIO.0−GPIO.4の５本のポートに１６F886からの出力をそれぞれ取り込み、プログラムで処理して１２F６２９のGPIO..５より“H”または“L”信号を出力させて黄色LEDを駆動する。プログラム中の日本語コメントにあるように、タイマ起動後は黄色LEDは連続点灯、時間の経過とともに、１５ms消灯点滅、５０ms消灯点滅、３００ms消灯点滅、１０００ms消灯点滅、そして時間終了で完全消灯する。
‘********************************************
'SimpleTimer16F886+12F629A.bas (2013.6.16)
'*********** Program **********
TRISIO=%011111 'GPIO.5 -> output ‘初期設定
CMCON=7 'Disable Comparator
LEDOUT var GPIO.5 'Output from 12F629 ‘各ポートを定義する
LEDL1 VAR GPIO.4 'Input from 16F889
LEDL2 VAR GPIO.3 'Input from 16F889
LEDL3 VAR GPIO.2 'Input from 16F889
LEDL4 VAR GPIO.1 'Input from 16F889
LEDL5 VAR GPIO.0 'Input from 16F889
Scan:
LEDOUT=0
LEDL1=0
LEDL2=0
LEDL3=0
LEDL4=0
LEDL5=0
If (LEDL1=1) AND (LEDL2=1) AND (LEDL3=1) AND (LEDL4=1) AND (LEDL5=1) THEN SIG1 ‘１６F886からポートへの入力が全部“H”の時SIG1へ飛ぶ
If (LEDL1=1) AND (LEDL2=1) AND (LEDL3=1) AND (LEDL4=1) AND (LEDL5=0) THEN SIG2 ‘１６F886からポートGPIO.0（LEDL5）へ入力だけが“L”の時SIG２へ飛ぶ
If (LEDL1=1) AND (LEDL2=1) AND (LEDL3=1) AND (LEDL4=0) AND (LEDL5=0) THEN SIG3
If (LEDL1=1) AND (LEDL2=1) AND (LEDL3=0) AND (LEDL4=0) AND (LEDL5=0) THEN SIG4
If (LEDL1=1) AND (LEDL2=0) AND (LEDL3=0) AND (LEDL4=0) AND (LEDL5=0) THEN SIG5
If (LEDL1=0) AND (LEDL2=0) AND (LEDL3=0) AND (LEDL4=0) AND (LEDL5=0) THEN SIG6 ‘１６F886からポートへの入力が全部“L”の時SIG６へ飛ぶ
SIG1: ‘ここに飛んで来た場合
High LEDOUT ‘:黄色LEDを点灯させる
GOTO Scan ‘Scanに飛ぶ
SIG2: ‘ここに飛んで来た場合
High LEDOUT ‘:黄色LEDを１秒間点灯させる
Pause 1000 '1 sec
LOW LEDOUT ‘黄色LEDを15ms間消灯させる
Pause 15 '15ms
High LEDOUT ‘:黄色LEDを点灯させる
GOTO Scan ‘Scanに飛ぶ
SIG3:
High LEDOUT
Pause 1000 '1 sec
LOW LEDOUT ‘黄色LEDを5０ms間消灯させる
Pause 50 '50ms
High LEDOUT
GOTO Scan
SIG4:
High LEDOUT
pause 1000 '1 sec
LOW LEDOUT ‘黄色LEDを３００ms間消灯させる
Pause 300 '300ms
High LEDOUT
GOTO Scan
SIG5:
High LEDOUT
Pause 1000 '1 sec
LOW LEDOUT ‘黄色LEDを１０００ms（＝１sec）間消灯させる
Pause 1000 '1000ms
High LEDOUT
GOTO Scan
SIG6: ‘ここに飛んで来た場合
LOW LEDOUT ‘:黄色LEDを消灯させる
GOTO Scan ‘Scanに飛ぶ
'****** End of Program ********
Note:
'Programmer's configuration must be set as follows:
'1) FOSC - INTOSC(GP4:I/O); WDTE - Enable; PWRTE - Enable
'MCLR - Internal (so no MCLR-resistor-+Vdd connection
'required!! ); BODEN - Enable; CD - Disable; CDP - Disable.